Project概要
持続的食糧生産のためのコムギ育種素材開発プロジェクト
近年、世界の人口増加と地球規模での気候変動に直面し、開発途上国における食料の安全保障のためには環境と生物資源の保全、持続的生産に対応したコムギ遺伝資源の育種学的な利用研究が強く求められています。
本研究では、厳しい自然条件と復興途中の社会条件にあるアフガニスタンに対して、日本の科学技術と戦後復興経験および国際連携を生かして大旱性や耐病性を持つアフガニスタン在来のコムギ遺伝資源を探索・保存するとともに、近代品種との掛け合わせにより高収量・高品質を備えた新しい育種素材・育種技術の開発を目指します。また、自国のコムギ品種改良を支えていくアフガニスタン若手研究者の人材を育成して、持続的食糧生産のためのコムギ育種素材の開発を目指します。
アフガニスタン国際復興支援に向けた人材育成と コムギ遺伝資源の里帰り計画
木原生物学研究所は、木原均博士が1955年に探索したアフガニスタンをはじめとするコムギ遺伝資源を保存しており、平成22年度には、これまでの研究成果を活用した国家的国際貢献プロジェクト「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」に採択されました。
本研究では主に、1.アフガニスタンコムギ遺伝資源の多様性評価 2.不良環境耐性の高いコムギ遺伝資源の育種利用技術開発 3.近縁野生種の潜在的能力を導入した新規コムギ育種素材の開発
4.アフガニスタンコムギ遺伝資源の保全と育種利用 などのアプローチによりアフガニスタンの復興支援を目指します。
また、アフガニスタンからの留学生・研修生を受け入れて研究指導し、自国の持続的食糧生産を担う次世代のリーダーを育成します。
その研究成果は、私たち人類が直面している地球規模での環境変動と食糧問題の解決に貢献する「第2の緑の革命」として期待されています。
コムギのサンプルを採集する木原均博士 (Afghanistan, 1955) |
アフガニスタンのコムギ試験場 (Afghanistan, 2010.6) |